静止しているときの点Oからの恒星の位置をP、移動中のときの見掛けの位置を P1, P2, …, P′,Pnとする。
Pの高度を η[°], Pnの高度を ε[°], 移動速度をV, 光速度をCとする。
光波が速度CでP-O間を移動しているが、θ の角度差があるように見える。
経路P-Oの基準座標に、
相対速度効果としての見掛けの経路Pn-Oの座標を重ねた共通座標から、V, θ の関係式を求める。
経路Pn-Oにおいて、光波がP1からOに向けて速度Cで出発したとすると、
OP1=r1=C儺1, OO′=V儺1, AO′=L1,
AP1=r1−V儺1cosε, ε=π−θ1−(π−η1)=η1−θ1, tanθ1=L1/AP1
L1=(C儺1−V儺1cosε)×tanθ1 @
L1=V儺1×sinε A
@, Aより、Vsinε=(C−Vcosε)×tanθ1 B
Bの両辺にcosθ1をかけると、Vsinε×cosθ1=(C−Vcosε)×sinθ1
Vsinε×cosθ1+Vcosε×sinθ1=Csinθ1 加法定理により、 Vsin(ε+θ1)=Csinθ1
。
∴ sinθ1=(V/C)×sin(ε+θ1)=(V/C)×sinη1
同様に、 sinθ2=(V/C)×sinη2, …, sinθ′=(V/C)×sinη′。
恒星の見掛けの位置がPnにあるように見えるとすると、
P-O間とPn-O間の通過時間は同じなので、経路Pn-Oの見掛けの速度=C±儼 。
経路Pn-O座標の時間を相対時間とし、経路Pn-O上の速度をCとすると、
共通座標における距離と角度の関係から、 sinθn=(V/C)×sinηn 。
∴ sinθ=(V/C)×sinη
上図のとき、見掛けの合成速度(V_Pn-O, 相対速度)がCより速くなっている。
相対時間は、C/V_Pn-O 倍となる。 [ 接近時間は、Vの経路Pn-O方向成分に関する時間換算分が短くなる。]
( 速度や時間が歪むわけではなく、見掛けの現象としての数値となる。)
( 恒星の見掛けの位置Pnや高度εは、点Oの座標以外では虚世界のものであり、
相対速度,相対時間は、点Oの座標上では実世界のもの。)
∠P=π−θ−ε=π−θ−(η−θ)=π−η, Pn-O=X, P-O=r=C儺, Pn-P=V儺
X^2=r^2+(V儺)^2−2rV儺cos(π−η)=(C儺)^2+(V儺)^2+2CV儺^2cosη
=儺^2(C^2+V^2+2CVcosη) X=儺√[C^2+V^2+2CVcosη]
∴ V_Pn-O=√[C^2+V^2+2CVcosη]
( 経路Pn-Oのように見えるが、実際は経路P-O上を速度Cで光波が到達している。)
年周光行差 (太陽)
V=地球の公転速度=29.78×10^3 C=2.99792458×10^8 黄緯=β[°]
太陽のβ≒0
[赤道上,太陽の赤緯=0,正中時]のときの天体の高度 η=90−β ∴ sinθ=(V/C)×cosβ
年周光行差 θ≒20.49[″] ( sinθ≒V/C )
( 北半球では太陽の正中時=南中時 )
年周光行差の発見 ジェームズ・ブラッドレー(1728年) James Bradley(1693−1762) 第3代グリニッジ天文台長
自宅の天頂セクターで恒星の楕円運動から発見、ほかに1747年に章動( 周期18.6年 定数9.2025″)を発見。
( 雨垂の中を移動するときに見える雨の動きは、移動と逆向きの速度と雨の落下速度とのベクトル合成によるもの。)
[ 2009年5月, 12月, 2011年1月 ]
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